村上春樹オススメ短編小説 〜新作の『一人称単数』から初期作まで〜

みなさん読書はお好きですか?

僕は毎日少しでも本を読まないと落ち着かないくらい読書が大好きです(笑)

今回はそんな僕が大好きな小説についてご紹介いたします。

村上春樹 オススメ短編小説ベスト3

Haruki Murakami

僕が好きな小説のジャンルに純文学というものがあります。

いわゆるエンタメ系小説との対比で用いられるジャンルですが、実は厳密に定義することが難しいジャンルでもあります。

そんな純文学の中で僕が大好きな作家の一人に村上春樹さんという作家がいます。

現在70歳を超える老齢の作家ですが、ヒット作を生み出し続けていることからご存知の方も多いのではないでしょうか。

今回は村上春樹さんのオススメ短編小説をランキング形式で紹介していきたいと思います。

<村上春樹のベストセラー作品ノルウェイの森についての記事はこちらから>

第3位『一人称単数』より「石の枕に」


一人称単数 (文春e-book)

2020年7月20日に刊行された最新短編集『一人称単数』より「石の枕に」。

10代の頃にバイト先で出会った女性と肉体関係を持った過去を現在の視点から回想するだけの話(笑)

アウトラインは驚くほどシンプルです。

だけどこの短編が読者を(少なくとも僕を)惹きつけてやまないのは、文間に散りばめられた短歌のその強烈な存在感によるものではないだろうか。

親子丼の上に乗った三つ葉のように、ある種の物事には少量だが決して欠かせないマテリアルが存在する。

そしてときにその少量のマテリアルはマジョリティーを凌駕することすらあるのだ。

この短編小説においては短歌が間違いなくその役割を担っている。

今のとき/ときが今なら/この今を/ぬきさしならぬ/今とするしか

やまかぜに/首刎ねられて/ことばなく/あじさいの根もとに/六月の水

たち切るも/たち切られるも/石のまくら/うなじつければ/ほら、塵となる

短歌と呼応しながら進んでいく文章の流れも面白い。

長編小説で特に顕著だが、この作者は複数のマテリアルを(あるいは異なる世界線を)相互に行き来するためのブリッジをかけるがとても上手い。

読者はそのブリッジの上に立ち、異なる世界の共通項が確かにそこに存在することを見出すことができるのだ。

第2位『神の子どもたちはみな踊る』より「蜂蜜パイ」


神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

阪神淡路大震災のあとに書かれ、地震という共通のテーマによって収められた短編集『神の子どもたちはみな踊る』より、書き下ろし作品として収録された「蜂蜜パイ」。

僕がこの作品に対して抱いた印象はあらゆる面で村上春樹らしくない、ということである(笑)

ここには村上作品特有のファンタジー性の色濃い世界観や、強烈なメタファーで示唆された難解な物語性はなく、あくまでも現実に即した形で進んでいくリアリズムな物語となっている。

主要な登場人物は4人で、主人公である小説家の淳平、彼の大学時代からの友人の高槻・小夜子夫婦、そして彼らの娘である沙羅。

これは村上作品にしばしば登場する男女3人グループという人間関係のモチーフに当てはまっていない。

何しろ幼い子どもが出てくること自体珍しいのだ。

また、力強い決意に満ちたエンディングで作品を締めくくるというのもあまりない。

でも、それこそが僕がこの作品を好きな理由でもある。

これまでとは違う小説を書こう、と淳平は思う。

夜が明けてあたりが明るくなり、その光の中で愛する人々をしっかりと抱きしめることを、誰かが夢見て待ちわびているような、そんな小説を。

でも今はとりあえずここにいて、二人の女を護らなくてはならない。

相手が誰であろうと、わけのわからない箱に入れさせたりはしない。

たとえ空が落ちてきても、大地が音を立てて裂けても。

この部分が大好きで何度も何度も読み返しました。

日常のあらゆる部分で寄り添いたくなる文章を書くのが彼は本当に上手い。

余談ですが『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』というエッセイの序文も最高にクールなので、お時間のある方はぜひ一読ください。

第1位『螢・納屋を焼く・その他の短編』より「納屋を焼く」


螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

1984年に出版された村上春樹の三作目の短編集『螢・納屋を焼く・その他の短編』より「納屋を焼く」。

長編でいうと『羊をめぐる冒険』と『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の間に位置する、比較的初期の作品と言えるでしょう。

個人的にはこの頃の春樹さんの作品が一番好きです(笑)

多くの謎が回収されないままエンディングを迎える、不思議な魅力を持った物語。

登場人物は3人で、主人公と、ガールフレンドとその彼氏。

ある日主人公の家にガールフレンドと彼氏が訪ねてきて、3人でビールを数ダース空けたあと一緒に大麻を吸うことになる。

大麻を吸おうという男の申し出に主人公はすんなり応じます。

すでにこの時点でかなりシュール。

そして唐突に男は、自分が定期的に他人の納屋を焼いているということを打ち明ける。

かなりエッジの効いたストーリー展開です。

長い間誰にも使われていない納屋で周辺に他の建物がなく、誰にも迷惑のかからない納屋を選定して燃やしている、と彼は言う。

もちろんそれが犯罪行為だという自覚もある。

それでも彼は納屋を焼かずにはいられない。

ある意味で、男はその観念に取り憑かれてしまっている。

主人公は男に翻弄され、次に焼かれる予定の納屋を探そうとするも結局見つけることができないまま物語は幕を閉じる。

終盤にガールフレンドが失踪するという第二の謎も残していく。

村上作品の最大の魅力は答えが一つに定まらない多義的な問いを数多く残してくれることにあります。

読者は多種多様なメタファーを通じてこの物語の真意を紐解こうと奔走する。

文章中のわずかな表現でさえ何かのヒントになるのではないかと思案する。

そこで実際に答えに出くわすことが重要なのではい。

むしろその思考の過程にこそこの小説を読む真の価値があるのだと思います。

余談ですが、アメリカの短編小説家レイモンド・カーヴァーの作品に『大聖堂』という珠玉の短編小説があります。

村上春樹と同時代の作家で、彼の作品を村上春樹が翻訳していることでも有名です。

この『大聖堂』にも自宅を訪れた妻の友人と一緒に大麻を吸うという場面があり、ほぼ同時期に発表された異国の現代作家の作品に共有するファクターがあるというのは何だか不思議な気がしました。

よければレイモンド・カーヴァーの作品もぜひご覧ください。

オススメの小説はまだまだたくさんあるので、近々また紹介します\(^-^)/

コメント

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