日本が誇る小説家の一人に村上春樹という”超”がつくほどの人気作家がいます。
出版すれば必ず売れるというバケモノじみたベストセラー作家なので、ご存知の方も多いのではないかと思います。
毎年ノーベル文学賞候補になっており、今年こそは受賞なるかとファンのハルキストたちが固唾を飲んでTV画面を見つめる光景も有名ですよね。
2006年にフランツ・カフカ賞を受賞したことで一躍ノーベル賞候補と言われるようになりましたが、もうかれこれ15年間続いているということになります(^◇^;)
もういいかげん受賞させてあげてほしいですよね(笑)
さて今回は村上春樹のオススメ長編小説をご紹介いたします。
<村上春樹のオススメ短編小説はこちらから>
“生”と”死”から読み解く『ノルウェイの森』の人気の理由
ノルウェイの森ってどんな作品?
2009年の時点で発行部数が国内累計1000万部を突破した、言わずと知れた大ベストセラー作品。
2010年にトラン・アン・ユン監督により映画化されたこともあり、村上作品にあまり精通していない人にとっても村上春樹といえばこのノルウェイの森と感じる人も多いのではないでしょうか。
「100パーセントの恋愛小説」というキャッチコピーに相応しく、他の作品に比べると多義的なメタファーや現実離れしたファンタジー要素の少ない、リアリズムな物語で構成されています。
“セックス”=”生”のメタファー
直子、レイコ、緑という3人の女性が登場し、とにかく様々な場面でセックスが描かれています。
村上作品に度々登場する性描写ですが、人によっては苦手に感じる要素の一つだと思います。
しかしこの作品においてはセックスが重要な役割を担っているのです。
なぜならばこの作品の最大のテーマは”死”。
親友であるキズキの死、直子の死など、主人公ワタナベの心に少しずつ”死”の気配が暗い影を落としていきます。
その”死”という観念と対をなすものこそ作品中で度々登場する”セックス”=”生”のメタファーなのではないでしょうか。
本文にこのような一節が出てきます。
死は生の対極ではなく、その一部として存在している
国語の教科書にも登場する有名な言葉であり、この作品を語る上で非常に大切な言葉であるとも言えます。
“死”とは遥か遠くにある未知の存在ではなく、目を凝らしさえすれば日常のあらゆる場面で気配を感じとることができる自分の中にすでに内在したものであるということを物語っています。
“大衆への伝わりやすさ”がベストセラーの条件
前述の通りこの作品はテーマがわかりやすく、筆者の想いが物語というオブラートに包まれることなくストレートに表現されています。
このわかりやすさが大衆から指示される一つの大きな要因であると感じました。
また赤と緑のクリスマスカラーで装幀されたキャッチーなデザイン性も、少なからずこのノルウェイの森の人気に寄与してると思います。
村上作品をまだ読んだことがない方や純文学というジャンルに慣れていない方への入門書としてオススメです\(^-^)/
ぜひ村上春樹の世界観や文章の心地よさを体感してみてください。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)
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